芸術、美術、アート。これらは現代の私たちの生活の一部となり、街に多く美術館や写真館などが点在しています。暮らしている中で目にする機会が何かと多い芸術。
しかし「芸術やアートがそもそもよくわからない」「興味はあるけど、どこの美術館に行けばいいか分からない」「どうせ美術館って絵画だけでしょう?」そう思う人もいるかもしれません。
そんな人たちにオススメしたいのが六本木の美術館。文化・芸術の中心地である六本木には、芸術初心者でも芸術慣れした上級者も楽しめるたくさんの美術館があります。六本木の美術館は展示内容が多種多様なので、きっとお気に入りの六本木の美術館が見つかるはず。
今回はそんな六本木の個性豊かな5つの美術館を紹介します。
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六本木は文化の中心

六本木には美術館が沢山ある
東京の中でも知名度が高い六本木。実は六本木は芸術・文化の中心の街であり、多くの美術館があるのです。
六本木にはいくつも美術館がありますが、その中でも六本木ヒルズ森タワーの最上層にある「森美術館」、国内最大の国立美術館である「国立新美術館」、そして東京ミッドタウンの中に位置する「サントリー美術館」、この3つの美術館は六本木の「アート・トライアングル」と呼ばれています。
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【森美術館】地上230mの高さに佇む美術館
六本木の中心にある「六本木ヒルズ森タワー」。そのビルの最上層である53階に佇むのが「森美術館」です。その高さは地上約230mと、建物内の展示空間としては日本最高所。そんな森美術館の魅力を紹介します。
森美術館は、多くのビルが存在する六本木の中でも一際目を引く六本木ヒルズ森タワーの上層部に存在します。しかし森美術館はなぜ地上約230mの高さに作られたのか?それは当時六本木ヒルズ森タワーの開発を手がけた森稔の想いからでした。
森美術館ってどんなところ?

六本木の森美術館
森美術館は「六本木を文化都心にしたい。そのために文化の象徴となる美術館を、最上層に据えたい。」という強い理念のもと「経済(オフィス)の上に文化(アート)を置く」をコンセプトに開館しました。そして今では六本木ヒルズ森タワーのシンボルに。六本木を訪れる際には、足を運びたい美術館です。
森美術館の外観

六本木の森美術館入り口
六本木ヒルズ森タワー内の森美術館専用入り口の「ミュージアム・コーン」。外と内共に眺も見晴らしも良く、中に入ると滑らかな螺旋階段から日本庭園が見えることが特長的。夜になると暖かな光を放ち、私たちを優しく包んでくれます。
また53階にある森美術館の施設設計はリチャード・グラックマンが行いました。森タワー高層部の内部に入れ子の様にギャラリー空間を宙吊りにする特殊なデザインに挑戦し、先例のないスペースを設計したと言われています。
ミュージアム・コーンや森美術館は美術館としてだけではなく、建築物としても美しく見応えがあります。
リチャード・グラックマンは世界的建築家

リチャード・グラックマンの代表作 グッケンハイム美術館
森美術館の施設設計を行なったリチャード・グラックマン。リチャード・グラックマンは森美術館の他にも、ニューヨークの「ホイットニー美術館」、ベルリンの「グッケンハイム美術館」、アメリカ合衆国の「フィラデルフィア美術館」など数多くの有名な美術館設計などに関わってきました。
リチャード・グラックマンの施設設計の特徴は明快でスマートであること。これはリチャード・グラックマンがガラス・鋼・鉄筋コンクリートを多く使用し、革新的な技術を入れる現代建築を重要視していたことにあります。
そしてリチャード・グラックマンは現代建築の施設形態は機能に従うべきであるというモダニズム美学を基盤にしているため、森美術館のような美術館が建築されたのです。
森美術館の展示

六本木 森美術館の内装
森美術館は現代アートをメインにしたデザイン、ファッション、建築など多彩なジャンルの作品を独自の視点で紹介した展示を頻繁に行なっています。
現代アートというのは、今まで純粋な美しさを受動的に感じていた芸術が、見る人にたくさん思考させるようなもの、社会批判につながるもの、疑問を持つようなもの。そういったものを見た人が考えることで初めて作品として完成するような従来の「美」に囚われない作品になります。
六本木の森美術館の展示は国内に限らず欧米からアジアやアフリカに至るまで、世界各地で発信されたあらゆる作品が展示の対象となっているのです。
過去に行われたものとして以下のものが挙げられます。
STARS展
国境や文化を越えた普遍的な課題の追求、伝統や美学、テクノロジーやサブカルチャーなど、日本固有の社会的、文化的、経済的背景をふまえて探ります。現代アートを知る上で外せない大御所6名の作品や歴史が六本木の森美術館に集結。
未来と芸術展
近い将来、人間は多くの判断を AI(人工知能)に任せるようになり、AIが人類の知能を超え、私たちの社会や生活に急激な変化をもたらすと言われています。
AIやロボット、都市や生命に焦点を当て、豊かさとは何か、人間とは何か、生命とは何かということがテーマになっています。バイオ技術などにより、「もしかしたらこんな未来になるかも」を体験できる美術館に。
建築の日本展
世界が魅せられた日本の建築の本質に迫る展示。世界的に注目されている丹下健三、谷口吉生、安藤忠雄、妹島和世など多くの日本人建築家たちが高い評価を得ています。古代からの豊かな伝統を礎とした日本の現代建築が、他に類を見ない独創的な発想と表現を内包している様を六本木の美術館で堪能できます。
あまり現代アートに触れたことのない人や、世界的に注目されている現代のアートを知りたいという人におすすめ。
森美術館の基本情報
交通アクセス:都営地下鉄大江戸線 「六本木駅」3出口 徒歩6分
都営地下鉄大江戸線 「麻布十番駅」7出口 徒歩9分
開館時間:展示内容により異なります。
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
問い合わせ:03-5777-8600(8:00~22:00)
料金:改修工事中のため未定
公式HP:森美術館
【森アーツセンターギャラリー】ポップカルチャー中心美術館
「森アーツセンターギャラリー」とは、六本木ヒルズ森タワー52階の東京を一望できる展望台と同じフロアにある六本木の美術館です。ひとつ上の階には森美術館があるので、森アーツセンターギャラリーと森美術館を一緒に観覧する人も少なくありません。
自由自在に美術館の表情を変えられる?
森アーツセンターギャラリーの設計はシンプル。どんな展示物であっても企画内容に合わせ、六本木の森アーツセンターギャラリーは雰囲気を自由自在に変えることができます。
この空間は森美術館の施設設計でお馴染みの、世界的建築家リチャード・グラックマンの手によるもの。六本木のこの美術館はまさに展示物を際立たせるための洗練された空間と言えます。
リチャード・グラックマンの手によるフィラデルフィア美術館
森アーツセンターギャラリー展示
森アーツセンターギャラリーは新しく上質な文化情報の発信拠点として、ファッション、デザイン、シネマ、アニメーションなど、幅広く多彩なテーマの展覧会やイベントを、ここ六本木で開催してきました。
今まで行われた展示は以下のものが挙げられます。
バスキア展
20世紀のモダニズム美術の流れを踏まえ、ジャズやヒップホップ、アフリカの民俗や人種問題など、黒人画家ならではの主題を扱っているジャン=ミシェル・バスキアの展示。
ムーミン展 THE ART AND THE STORY
ムーミンの多彩なアートと奥深い物語の魅力を体感できるもの。日本フィンランド外交関係樹立100周年記念に開催された展示です。
創刊50周年記念 週刊少年ジャンプ展
週刊少年ジャンプでの大ヒット作品の原画や世界観を味わえる展示。
六本木の森アーツセンターギャラリーは、日本で大人気の漫画やアニメの原画展などが開催されることが多く、ファンにとってはたまらない美術館。ポップカルチャーに触れたい、気軽に美術館に行きたい!という人におすすめです。
森アーツセンターギャラリーの基本情報
交通アクセス:都営地下鉄大江戸線 「六本木駅」3出口 徒歩6分
都営地下鉄大江戸線 「麻布十番駅」7出口 徒歩9分
開館時間:展示内容により異なります。
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
問い合わせ:03-5777-8600(8:00~22:00)
料金:改修工事中のため未定
公式HP:森アーツセンターギャラリー
【国立新美術館】最大の大きさを誇る国立美術館

六本木の国立新美術館
六本木に位置する国内最大の国立美術館である「国立新美術館」。地下1階、地上4階からなり敷地面積3万㎡にも及びます。美術に関する情報や資料の収集・公開・提供、教育普及などを行い、アートセンターとしての役割を果たしている新しいタイプの美術館です。
国立新美術館は内外から情報や物、人を集め「美術」を媒体とした多様な価値観に触れられる場所に。さまざまなものに触れることで相互理解や共生といった視点を育み、人々や社会を豊かにしていくことに貢献しています。
世にも珍しい美術館

国立新美術館の外観
本来国立の美術館は美術館自体が保有している作品を常設展示、そして同時に企画展示を行うことが一般的な形態です。しかし国立新美術館はコレクションのないギャラリータイプであり、常設展示を行わず公募展、企画展、展覧会のみを行う非常に珍しい美術館です。
国立新美術館は森の中の美術館

六本木 国立新美術館のガラスカーテンウォール"
国立新美術館のコンセプトは「森の中の美術館」。国立新美術館の南側正面は緑が広がり、ガラス張りの明るい外観が広がります。なんといっても国立新美術館は、波のように美しい曲線を描くガラスカーテンウォールと円錐形になっている正面入り口が特徴的。
内外から見える光景は非常に美しく、国立新美術館の隣にある青山公園では四季折々の表情が見られます。六本木の美術館の多くは現代的で美しい建築様式ですが、ここ国立新美術館の建築は特逸した雰囲気があります。
また、国立新美術館は雨水の再利用による省資源対策や床吹出し空調システム等の省エネ対策、ユニバーサルデザインへの対応など様々な機能が追求された画期的な国立美術館でもあります。
国立新美術館の建設
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六本木 国立新美術館の内装
国立新美術館は黒川紀章の手により設計されました。黒川紀章は国内の「埼玉県立近代美術館」、「名古屋市美術館」、「広島市現代美術館」といった有名な美術館から海外の「ヴァン・ゴッホ美術館新館(オランダ)」、「クアラルンプール新国際空港(マレーシア)」など多くを生み出した巨匠。
日本建築学会賞、日本芸術院賞、フランス芸術文化勲章など国内外での受賞数は数知れず。六本木の国立新美術館はそんな黒川紀章が生前最後に完成した美術館になります。
この国立新美術館では作品の搬出入がスムーズに行くための導線が考えられ、また、作品審査官の負担を考慮した休憩スペースがあります。
近隣に建てられている住居への配慮や、今後の六本木は24時間動き続ける街になると考えた結果、遅くまでレストランやカフェ運営ができる設計など多くの思考と想いが詰まった美術館なのです。
国立新美術館のアートライブラリーへ

六本木の国立新美術館
国立新美術館はなんと美術専門の図書館を併設。「アートライブラリー」(美術館3階)と「アートライブラリー別館閲覧室」(別館1階)があり、どちらの利用でも最初はアートライブラリー(美術館3階)にて受付しています。
アートライブラリーは誰でも利用が可能。貸し出しは行ってはいませんが約10万冊にも及ぶ本が閲覧できます。写真撮影や携帯電話、飲食や鉛筆以外の筆記用具の使用は制限、禁止されているので注意が必要です。
国立新美術館の展示
国立新美術館は作品を保有しないギャラリータイプであるため、常設展示はありません。企画展では個人の個別展示や日本芸術大学や多摩美術大学などの美大生の卒業生作品を集結した展示、文化庁などが主催で行うファッション展などが行われます。
現在行われている展示・過去の展示は以下のものが挙げられます。
公募展 現展
現代美術家協会主催で、平面(絵画・版画・デザイン・CG)・立体(立体造形・彫刻)・工芸(平面工芸・立体工芸)・写真などを展示。
企画展 佐藤可士和展
日本を代表するクリエイティブディレクターの今まで手がけた広告デザインや戦略などを公開・展示。
展覧会 東京大学生産技術研究所70周年記念企画展
「もしかする未来と工学×デザイン」をテーマにデザイン・テクノロジー分野を集結させ展示しています。
主に広告や作品デザイン、ファッションや絵画などが集まり、ジャンルは幅広いですがプロダクトに関わる展示も多く仕事で広告やデザインを学びたい人、芸術やデザインの情報を多く取り入れたい人などにおすすめ。
もちろん建築的にも美しくカフェやレストランを利用したい、ミュージアムショップだけを見たいという方にもバッチリです。
国立新美術館の基本情報
交通アクセス:東京メトロ千代田線乃木坂駅 青山霊園方面改札6出口(美術館直結)
東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から徒歩約5分
開館時間:10:00〜18:00
※入場は閉館前の30分前です
※展覧会、企画展、公募展は団体により観覧時間が違うため確認が必要です
休館日:毎週火曜日 ※祝日又は振替休日に当たる場合は開館し、翌平日休館
年末年始(2021年12月21日(火)〜2022年1月11日(火))
住所:東京都港区六本木7-22-2
問い合わせ:03-5777-8600
料金:内容によって金額は変わるので確認が必要です
公式HP:国立新美術館
【サントリー美術館】日本の美を発信する美術館

六本木 東京ミッドタウンのサントリー美術館
「サントリー美術館」。1961年に飲料メーカーのサントリー社長・佐治敬三が「生活の中の美」を基本理念に活動を展開してきた美術館です。
元々は千代田区丸の内のパレスビル内にあったサントリー美術館ですが、2005年にサントリー東京支社がお台場に移転することに合わせて休館。2007年に防衛庁跡地を再開発し建築された「東京ミッドタウン」に入居することになり、新「サントリー美術館」として再オープンしました。
六本木アート・トライアングル
サントリー美術館は東京ミッドタウンガレリア3階に佇む六本木の中心街にある美術館。新しい時代の美術館の活動指針「美を結ぶ。美をひらく。」というミュージアムメッセージを、サントリー美術館は掲げ活動しています。
日本の美を中心に発信するサントリー美術館と、六本木をアートの発信場所にしたいという想いを込められ建てられた森美術館、芸術・美術の情報や人に多く触れられることで互いの価値観を認め共存を目指す国立新美術館は、六本木の「アート・トライアングル」とも呼ばれているのです。
サントリー美術館の設計

六本木 サントリー美術館
サントリー美術館の設計者は世界的に注目されている建築家兼デザイナーの隈研吾。彼の建築の大きな特徴は、木材などの自然素材を生かした見事な建築であるということです。
隈研吾がポストモダニズムから自然素材を生かした建築の手法になったのは、阪神淡路大震災と東日本大震災を受けたことで「コンクリートなどの人工物で自然に立ち向かおうという20世紀の思想が砕かれた」と感じたため。
彼は自然から生み出した建築を人間と地球を繋ぎ合わせる存在と位置づけ、コンクリートの時代から木の時代への移行を目指しています。
隈研吾の代表的な設計としてあげられるのは根津美術館や浅草文化観光センター、高輪ゲートウェイ駅など。自然をふんだんに使用した美術館や、美術館と間違うほどの商業施設など生み出しています。
高輪ゲートウェイ駅で使用している木材には火災に強い特別な加工がしてあり、自然を使う建築でも安全に配慮した工夫が凝らされています。
サントリー美術館の展示

六本木のサントリー美術館入り口
サントリー美術館は「美を結ぶ。美をひらく。」というミュージアムメッセージを掲げ活動している事も大きく影響し、日本の美を中心に発信していく六本木の美術館になっています。
今まで行われた展示は以下のものが挙げられます。
日本美術の裏の裏
日本ならではの美意識に根ざした作品を紹介、古の人々の愉しみを追体験することをテーマにした展示。
美を結ぶ。美をひらく。美の交流が生んだ6つの物語
東西文化が結びつき生まれた浮世絵や、異文化を独自の表現に昇華したガレ、国・時代・素材を越えて結び、ひらいた6つの美の物語が公開されていました。
ART in LIFE, LIFE and BEAUTY
酒宴で用いられた調度、「ハレ」(=非日常)の場にふさわしい着物や装飾品、豪華な化粧道具などから、異国趣味の意匠を施した品々まで集めた展示。
日本文化や日本ならではの美しさ、造形の美を求めるような人におすすめです。
サントリー美術館基本情報
交通アクセス:都営地下鉄大江戸線 六本木駅出口8より直結
乃木坂駅出口3より徒歩約3分
開館時間:10:00~18:00
※金・土は20:00まで営業
※いずれも最終入館は閉館30分前まで
休館日:火曜日、展示替期間、年末年始
住所:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
問い合わせ: 03-3479-8600
料金:一般 当日 ¥1,500/前売 ¥1,300
大学・高校生 当日 ¥1,000/前売 ¥800
※内容によって金額は変わるので確認が必要です
※中学生以下、障がい者手帳を持つ方と付き添い1名まで無料
公式HP:サントリー美術館
【21_21DESIGN SIGHT】デザインへの理解と関心を育む場

六本木 21_21DESIGN SIGHT
「21_21DESIGN SIGHT」、読み方は「トゥーワン・トゥーワン・デザインサイト」。ここはデザインを通じてさまざまなできごとやものごとについて考え世界に向けて発信し、提案を行う場にするために六本木に建てられました。
21_21DESIGN SIGHTの想い

六本木 21_21DESIGN SIGHT
21_21 DESIGN SIGHTは「日常」をテーマにした展覧会を中心にトークやワークショップなど行う美術館。特定の手法だけではなく、様々なプログラムを通じて訪れる人がデザインの楽しさに触れ、新鮮な驚きに満ちた体験をすることができるのです。
デザインは生活を楽しく、豊かにする。21_21 DESIGN SIGHTはこの文化としてのデザインを探す、発見する、つくっていく視点(sight)を備えた活動拠点にしようという想いが込められました。このデザインへの想いと提供された場によって、私たちの思考や行動の可能性を広げてくれます。
展覧会のディレクターの多くをデザイナーが務めているのも特徴です。
21_21DESIGN SIGHTの外観

六本木の21_21DESIGN SIGHT内装
地上1階、地下1階の低層建築の21_21DESIGN SIGHT。折り曲げられた巨大な鉄板の屋根が地面に向かって傾斜する独創的な造形をしています。一見他の美術館と比べると大きさは小さいように感じますが、なんと床面積の8割は地下という大胆な構造に。中に入ると外観からは思いもよらない空間が広がります。
地上階にはギャラリー3とショップ、そして地下階には2つのギャラリー。地上だけではなく地下階にも自然光がさしこむ様式になっており、心地良い造りとなっています。夜は昼とはまた違った美しい光景を見せてくれます。
夜の六本木 21_21DESIGN SIGHT
21_21DESIGN SIGHTの設計
21_21DESIGN SIGHTは経済大国としての日本だけではなくデザイン文化の促進を目的として、三宅一生たちの発案で始まった企画になります。
「日本のデザイン向上のためには自国の技術や伝統を形として示し、公開していき自信をつける必要がある。そうした発信をしていくことで、世界に通用する道を模索できるのではないか。」とデザインのためのミュージアムを企画したのです。
21_21DESIGN SIGHTは建築家の安藤忠雄が、三宅一生の「一枚の布」からイメージを得て建てました。安藤忠雄は独学で建築を学び、今では日本を代表する建築家に。
代表作は「六甲の集合住宅」、「光の教会」、「フォートワース現代美術館」、「クラーク美術館」などがあり、多くのデザインに関わって、建築を行ってきました。
21_21DESIGN SIGHTの展示
デザインや思考に訴えかけるもの、日常に潜むデザインを主に取り上げている21_21DESIGN SIGHT。ここでは最先端のデザインや新しいものごとの見方などが得られ、新鮮な驚きを体験できます。
現在行われている・今までで行われていた展示は以下のものが挙げられます。
トランスレーションズ展 −「わかりあえなさ」をわかりあおう
翻訳をコミュニケーションのデザインと考えた際に、互いに異なる背景をもつ「わかりあえない」もの同士が意思疎通を図るためのプロセス」と捉え、その可能性を多角的に拓いていく展示です。体験型の展示物も。
㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画
デザインの過程において生み出してきたスケッチ、図面、模型の数々といった普段はあまり光が当たらない部分を一挙公開した展示。そんな秘められた部分にこそデザインの大切なエッセンスが刻まれています。
野生展:飼いならされない感覚と思考
理性や合理性ばかりが前面にあらわれる現代においても、「まだ飼いならされていない心の領域」こそが、今まさに大切になってきている「野生」のすみか。自身の内に潜む野生をどのように見いだし、見たことのない物事の意味をどのように理解するのか。そこの力を紐解くキッカケになるための展示。
新しい価値観や、思考やものごとを解決に導く広義での「デザイン」を求める人におすすめです。
21_21DESIGN SIGHTの基本情報
交通アクセス:都営大江戸線「六本木」駅、東京メトロ日比谷線「六本木」駅、 千代田線「乃木坂」駅より徒歩約5分
開館時間:11:00〜17:30(入場は17:00まで)
休館日:火曜日、展示替期間、年末年始
住所:東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン内
問い合わせ:03-3475-2121
料金:一般1,200円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料
※15名以上は各料金から200円引き、いずれも消費税込
公式HP:21_21DESIGN SIGHT
六本木の美術館へ行こう
今回は六本木の周辺にある、様々なタイプの美術館を紹介してきました。
今まであまり芸術やらデザインやらが分からなかった人、静まりかえっている雰囲気が苦手という人もきっと気に入る美術館が見つかるはず!
東京の中心に生まれた文化中心としての六本木を、一度は楽しんでみてはいかがでしょうか?