東北三大夏祭りの一つに数えられている「青森ねぶた祭り」。青森県青森市内で毎年8月2日から7日の6日間の日程で開催される、のべ300万人を超える観光客が訪れる人気のお祭りです。
大きなもので高さ5mにもなる「ねぶた」が町を練り歩き、その周りでは「ハネト」と呼ばれる踊り子たちが踊っているのが特徴。なんとそのハネトには、観光客のみなさんも参加できるのです。
2022年度の青森ねぶた祭りは、8月2日(火)〜8月7日(日)に開催。
今回は、青森ねぶた祭りの歴史や、ハネトに参加するためのルールを紹介します。
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青森ねぶた祭りの歴史

青森ねぶた祭りの提灯
始まりは定かではない青森ねぶた祭りですが、奈良時代に中国から伝わってきた「七夕祭」と、青森の津軽の地にあった風習が合体したものが、ねぶた祭りの起源だと考えられています。
ねぶたとは、木材や針金、紙などで作った灯籠のこと。地域によっては「ねぷた」や「ねふた」と呼ぶところもあり、灯籠の形態も様々です。
そのねぶたを川や海に流すことで無病息災を祈っていました。現在でも、青森ねぶた祭りの最終日に「ねぶた海上運行」として、ねぶたは海に流されています。
【青森ねぶた祭り 基本情報】
会場:青森県青森市本町2丁目
TEL:017-723-7211
開催期間:2022年8月2日(火)〜8月7日(日)
※毎年同日、8月1日は前夜祭
公式サイト:青森ねぶた祭りオフィシャルサイト
青森ねぶた祭りのねぶたが完成するまで

青森ねぶた祭りのねぶた1台の大きさ(写真提供:青森県観光情報サイト)
青森ねぶた祭りで使用される大型の人形の灯籠は、10ステップに及ぶ制作工程を3ヶ月かけて作っています。ねぶた1台にかかる費用は約2,000万円。
ねぶた名人と呼ばれるねぶた制作を専門にしている人を中心に制作しています。
1.下絵
最初に、ねぶたの設計図ともなる下絵を書きます。題材となるのは歴史的な物語などで、それを元に構成を練り下絵を作ります。
2.小屋がけ
ねぶた作りに入る前に、その制作場所と完成後の収納場所のためにねぶた小屋を作ります。小屋の大きさは、高さが約6m、奥行きは12mほどです。
3.細部のパーツ作り
顔や手足、刀などの細かい部分を先に作ります。大きさは、それぞれの寸法から比例式で割り出して計算します。
4.骨組み
細かいパーツが完成したら、次は骨組み作りです。角材で支柱を作り、針金や糸を使って形を作ります。1950年代ごろまでは、針金の代わりに竹が使用されていました。
5.電気配線
できあがった骨組みに、照明用の電球や蛍光灯を800から1,000個取り付けます。ねぶたの内部から照らす照明ですが、昔は、電球ではなくろうそくでした。
6.紙はり
ねぶたに使用される紙は、和紙の一種の奉書紙。貼り付けにはボンドを使用し、この作業が一番難しいとされています。
7.墨書き
貼り付けた奉書紙に、墨を使って顔や手足、着物の柄などを書いていきます。迫力をかもし出す筆法で書かれる墨書きは、よりねぶたの迫力を引き出しています。
8.ろう書き
パラフィンという油をとかして、ねぶたに模様をつけます。この作業は、ただ模様をつけるだけでなく、色がにじむのを防ぐ役割もあります。
9.色つけ
水性顔料を使って色をつける作業。筆やスプレーで染色します。これでねぶたの本体は完成です。
10.台上げ
完成したねぶたの本体を、高さ2mの台に上げます。一つのねぶたを持ち上げるのに必要な人数は40人から50人。これで全ての作業が終了です。完成したねぶたは、先に作ったねぶた小屋で収納されます。
青森ねぶた祭りのハネトって?
高さ5mにも及ぶねぶたの迫力を見て楽しむのもいいですが、さらに青森ねぶた祭りを楽しむ方法があります。

青森ねぶた祭りで踊るハネト集団(写真提供:青森県観光情報サイト)
それは「ハネト(跳人)」に参加すること。ハネトとは、文字通り跳ねて踊る人のことで、ねぶたの周りで鈴の音を鳴らしながら「ラッセラー!ラッセラー!」の掛け声で踊っています。
ハネトの集団は青森ねぶた祭りに欠かせない存在。そのハネトに、ハネトの正装を着ていれば、誰でも自由に参加できます。
ハネトに参加するには
<img src="https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/thegate/2019/06/13/13/25/25/Aomori-Nebuta-Festival-Evening.jpg" alt="夕暮れどきの青森ねぶた祭り" /
ねぶたを囲んで踊るハネト(写真提供:青森県観光情報サイト)
特に事前予約や団体に所属していなくても参加できるハネトですが、参加するにはいくつかルールがあります。中でも、一番重要なルールが、ハネトの正装を着用して参加するということ。
ハネトの衣装は、デパートなどで一式購入できるほか、レンタルも行っています。詳しくは青森県観光情報サイトをご覧ください。
以下、その他ハネトのルールです。
■みんなが楽しめる明るい祭りにする
■ねぶた出発の10分前までに、運行コースにあるハネトの待機場所に集合する
■運行委員の指示に従う
■関係のないホイッスルなどは持ち込まない
■花火の打ち上げや爆竹、一升瓶や空き缶の投げ捨ては禁止
■運行中、逆戻りや途中参加は禁止
■消防車や救急車が出動した場合は、速やかに道路を空ける。
以上のルールを守ってハネトに参加しましょう。ハネトに参加することで、青森ねぶた祭りがより楽しい思い出になりますよ。
花火をバックにねぶたが海を流れる

青森花火大会とねぶた海上運行(写真提供:青森県観光情報サイト)
青森ねぶた祭りの最終日8月7日には、「青森花火大会」と「ねぶた海上運行」が同時に開催されます。
青森ねぶた祭りでは、運行したねぶたを対象に審査を行っていて、いくつかの賞が用意されているのですが、ねぶた海上運行に登場するのは、受賞した6台。
夜の海に揺られるねぶたと、その背後に打ち上げられる花火の光景は幻想的です。海上運行とねぶたを一緒に見られる場所は、有料観覧席となるので、事前に購入しておきましょう。
青森ねぶた祭りは予定を早めに決めておこう
青森ねぶた祭りは、曜日に関係なく毎年8月2日から7日の日程で開催されるので、あらかじめ予定も立てやすいです。
ハネトの衣装やホテルの予約、観覧席の購入は、ぜひ早めにしておきましょう。
青森ねぶた祭りへのアクセス
最寄駅:青森駅
八戸駅からのアクセス
【八戸駅】— 青い森鉄道 / 青森方面
→【青森駅】→ 徒歩(約10分)
青森空港からのアクセス
【青森空港】— JRバス / 青森方面
→【青森駅】→ 徒歩(約10分)